空を舞う金魚
*
真夏の暑い盛りが終わり、季節は残暑へと移っていた。昼間の暑さに比べて朝夕は幾分過ごしやすくなっている。夜遅くなる日はカーディガンを持ち歩かないといけない日々だ。そんな持ち物を、渡瀬が目ざとく見つけた。
朝。エレベーターホールに差し込む太陽の光にうんざりしていると、おはよう、と渡瀬に声を掛けられた。
「綾城さん、大体この時間だね」
「渡瀬くんだってそうじゃないですか」
「もしかして電車が同じとかなのかな」
「ふふ、もしそうだとしても、こんなに人が居るから分かりませんよね」
微笑って話していると、渡瀬があれっ、と千秋の持ち物を見た。
「今日、残業?」
「えっ?」
真夏の暑い盛りが終わり、季節は残暑へと移っていた。昼間の暑さに比べて朝夕は幾分過ごしやすくなっている。夜遅くなる日はカーディガンを持ち歩かないといけない日々だ。そんな持ち物を、渡瀬が目ざとく見つけた。
朝。エレベーターホールに差し込む太陽の光にうんざりしていると、おはよう、と渡瀬に声を掛けられた。
「綾城さん、大体この時間だね」
「渡瀬くんだってそうじゃないですか」
「もしかして電車が同じとかなのかな」
「ふふ、もしそうだとしても、こんなに人が居るから分かりませんよね」
微笑って話していると、渡瀬があれっ、と千秋の持ち物を見た。
「今日、残業?」
「えっ?」