空を舞う金魚

返事を言い淀んでいると、入口の方から声を掛けられた。

「おはよー、千秋ちゃん、渡瀬くん」

滝川だった。一瞬でその場の空気が変わり、ほっと息を吐く。

「おはようございます、滝川さん」

「おはようおはよう。二人で何話してたの~?」

にこにこと話し掛けてくる滝川に何でもないです、と返す。

「そろそろ夜は上着がないと寒いですよねって」

「あ~、そうだよね~。私も上着持ち歩きだよー」

結構荷物よね、と滝川が笑う。

「もうちょっと朝の陽ざしが和らいでくれると、家から着て来れて邪魔にならないんだけどねえ」

日本の四季の難しい所だ。同意して笑う。

「逆に渡瀬くんはジャケット暑くない?」
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