偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました
「栗本……藍が心配じゃないのか?」
「心配だから尋ねているんです。経緯を知らなければ対処法も考えられないし、守れません。それでなくても上田家はあきらめが悪い」
なぜか剣呑な雰囲気のふたりを尻目に、私は口を開く。
「婚約をやめるように忠告されただけよ。白坂さんが化粧室に来られて、上田さんはすぐに退出したわ」
「白坂さんに会ったのか?」
櫂人さんにしては珍しく、声に驚きが滲んでいる。
「ええ、お見合いの件を謝罪してくださったの」
「……まったくあの人は。あれだけ勝手な真似はしないよう伝えたのに」
櫂人さんは髪をクシャリとイラ立たし気にかき上げる。
常に冷静な彼とは思えない振る舞いに戸惑う。
「そんな話は後でもいいだろう。藍の顔色が悪い。無理をさせすぎじゃないか?」
不機嫌な様子で貴臣くんが口を挟む。
「藍、体調が悪いのか?」
「ううん、大丈夫。それよりもうすぐ挨拶の時間でしょ。準備をしなくちゃ」
腰にまわされた腕をそっとほどいて向き合うと、なぜか鋭い視線に射抜かれてたじろぐ。
「お前の婚約者は俺だろ?」
「え……?」
「なんでお前に起こった問題や出来事をほかの人間から聞かされなきゃいけない?」
「櫂人さん?」
「心配だから尋ねているんです。経緯を知らなければ対処法も考えられないし、守れません。それでなくても上田家はあきらめが悪い」
なぜか剣呑な雰囲気のふたりを尻目に、私は口を開く。
「婚約をやめるように忠告されただけよ。白坂さんが化粧室に来られて、上田さんはすぐに退出したわ」
「白坂さんに会ったのか?」
櫂人さんにしては珍しく、声に驚きが滲んでいる。
「ええ、お見合いの件を謝罪してくださったの」
「……まったくあの人は。あれだけ勝手な真似はしないよう伝えたのに」
櫂人さんは髪をクシャリとイラ立たし気にかき上げる。
常に冷静な彼とは思えない振る舞いに戸惑う。
「そんな話は後でもいいだろう。藍の顔色が悪い。無理をさせすぎじゃないか?」
不機嫌な様子で貴臣くんが口を挟む。
「藍、体調が悪いのか?」
「ううん、大丈夫。それよりもうすぐ挨拶の時間でしょ。準備をしなくちゃ」
腰にまわされた腕をそっとほどいて向き合うと、なぜか鋭い視線に射抜かれてたじろぐ。
「お前の婚約者は俺だろ?」
「え……?」
「なんでお前に起こった問題や出来事をほかの人間から聞かされなきゃいけない?」
「櫂人さん?」