偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました
「櫂人さんは白坂さんを想っているので」
「本当にそうかしら? 白坂さんとの仲を栗本副社長は何度も強く否定されていたわよ。ネットニュースの件もすぐに連絡をくださって、藍ちゃんとの婚約破棄は絶対にしないっておっしゃっていたわ」
「え……」
「ゴシップを仕掛けた人物に心当たりがあるから、迅速に対処すると強い口調でおっしゃっていたわ。藍ちゃんが傷つかないかとても心配している様子が伝わってきたわ」
蘭子さんが紅茶のカップを細い指で持ち上げる。
「この前のパーティーの件にしろ、藍ちゃんには負担をかけているから、これ以上苦しめたくないそうよ」
私の、ため?
「栗本副社長の性格は、藍ちゃんが一番よくわかっているんじゃないの?」
蘭子さんの問いかけが私の心を揺さぶる。
私はこれまで、彼のなにを見ていたんだろう。
あの人は一度も私に嘘をつかなかったのに。
どうして信じなかったんだろう。
「婚姻届の話のときも、両家の挨拶も済んで同居もしているのに入籍しない理由はなんだろうってずいぶん気にされていたのよ」
「でもそんな話は一度も……」
「栗本副社長は本当に好きな人にはものすごく不器用みたいね。正樹もそうだけど、肝心な部分をきちんと口にしないから伝わらなくて拗れるのよ。沈黙は美徳とでも思ってるのかしらね」
正樹さんというのは蘭子さんの旦那様だ。
「本当にそうかしら? 白坂さんとの仲を栗本副社長は何度も強く否定されていたわよ。ネットニュースの件もすぐに連絡をくださって、藍ちゃんとの婚約破棄は絶対にしないっておっしゃっていたわ」
「え……」
「ゴシップを仕掛けた人物に心当たりがあるから、迅速に対処すると強い口調でおっしゃっていたわ。藍ちゃんが傷つかないかとても心配している様子が伝わってきたわ」
蘭子さんが紅茶のカップを細い指で持ち上げる。
「この前のパーティーの件にしろ、藍ちゃんには負担をかけているから、これ以上苦しめたくないそうよ」
私の、ため?
「栗本副社長の性格は、藍ちゃんが一番よくわかっているんじゃないの?」
蘭子さんの問いかけが私の心を揺さぶる。
私はこれまで、彼のなにを見ていたんだろう。
あの人は一度も私に嘘をつかなかったのに。
どうして信じなかったんだろう。
「婚姻届の話のときも、両家の挨拶も済んで同居もしているのに入籍しない理由はなんだろうってずいぶん気にされていたのよ」
「でもそんな話は一度も……」
「栗本副社長は本当に好きな人にはものすごく不器用みたいね。正樹もそうだけど、肝心な部分をきちんと口にしないから伝わらなくて拗れるのよ。沈黙は美徳とでも思ってるのかしらね」
正樹さんというのは蘭子さんの旦那様だ。