偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました
「そんなのお互い様でしょ。恋人同士は対等なんだから遠慮しなくていいの。そもそもあなたたちはコミュニケーション不足で拗れてるんだからぶつかって、喧嘩しあうくらいがちょうどいいのよ」


「……喧嘩して嫌われるのが、怖いんです」


ずっと隠してきた弱い本音。

好きだから嫌われたくない、疎まれるのが怖い。


「そう思っているのは藍ちゃんだけかしら? 何事も一歩踏み出さなくてはなにも変わらないわよ」


蘭子さんの諭す声がストンと胸の奥底に落ちてくる。

どこまでも甘えた考えの自分が恥ずかしい。

私は彼を不幸にしたくないと言いながら、真剣に向き合わず逃げていた。

結局私は自分の心を守っていただけだ。


「もう一度、きちんと謝って話します」


「そうね。可愛い妹分を不幸にするような男なら、私が絶縁状を叩きつけてあげるわよ」



「――絶対に幸せにしますから、認めていただきたいですね」


突然背後から響いた声に息を吞む。
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