偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました
「ああ、そもそも白坂さんに藍が似ているんじゃなくて、藍が白坂さんに似ていたんだ……監には勘違いさせてしまっていたが」


「どういう意味?」


「その答えはこれから行く場所で教える。運転しながらだと話しにくいから」


正面を見据えたまま彼は手短に告げる。

どこか厳しい表情に、小さな不安が込み上げそうになる。


「藍が心配するような内容じゃない」


私の表情は見えないはずなのに、すべてを察したような柔らかな声が響く。


「……なんでわかるの」


「藍を愛してるからな。このまま連れ帰って抱きしめて、何度もキスをして、抱きたい。それで俺の腕の中からずっと出さずにいたい」


「い、いきなり、なに……!」


赤裸々な告白に一気に体温が上がる。

心音が激しくなっていくのがわかる。


いつもの冷静な彼はどこへいったの?


そもそもこんな甘い台詞をさらりと口にする人だった?


「いきなりじゃない。俺はいつもそう思ってる」


「い、いつもって……!」


しれっと照れもせず言い放つ横顔を、私は壊れそうな心臓を抱えながら見つめ返す。


「もうすれ違いたくないから、今後は正直に気持ちを打ち明けようと思って」


確かにカッコ悪いところもなにもかも全部見せてとは言ったけれど。

こんな不意打ちは心臓に悪すぎる。
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