偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました
再び信号で停止した彼がそんな私の様子を目にして慌てふためく。


「藍?」


「櫂人さんのバカ! 私だってずっと嫉妬してたし、不安だったんだから!」


冷静に車内で話していたのはなんだったのかと思うほど、情けない涙声が出た。

何度も不安だった、怖かったと今しがた伝えたはずだったのに。

こんな風に感情的になってしまう私は本当に情けない。


「……ごめんな」


そう言って、彼は私の頭を自身の肩口に引き寄せる。

伝わる体温と香りに愛しさが溢れて益々涙が止まらなくなった。


「もう不安にさせないから。俺はお前さえいてくれたらほかにはなにもいらない」


温かな声が耳に響き、髪を撫でてくれる大きな手に身体を委ねた。
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