マリオネット★クライシス
「……あのね、ジェイ」
ゴンドラがてっぺん近くまで来たところで、思い切って隣へと身体を向けた。
「ん?」
景色そっちのけでまだ楽しそうにプリクラを眺めていたジェイが顔をあげる。
女子からも嫉妬されちゃいそうな長いまつ毛や印象的な瞳に見惚れつつ、わたしは唇を湿らせた。
そして。
「ら、ラインのIDかメアドって聞いてもいいかなっ?」
一息に言い切って、ギュッと膝の上で両手を握り締めた。
心臓はもうバクバクだ。
もっとさらっと、自然な聞き方があるのかもしれないけど。
自分から連絡先聞くなんて人生初のことだから仕方ないよね、と身体を固くしたまま、じっと返事を待つ。
「……どうして?」
へ? どうして?
え、ぇえ、そうくる?
えっと……
「……あの、今日、ほんとに楽しくて……だから、よかったらジェイが帰国した後も、時々近況報告とか、そういう連絡できたらいいなって思って。留学は断わったのに、図々しいお願いかもしれないけど、その……友達、になれたらって」
一日限定の、ニセ恋人。
それだけのつもりだった。
ロストバージンだけ手伝ってもらったら、もう二度と会わないつもりだった。
なのに……今、そうしたくないと声をあげてる自分がいる。