マリオネット★クライシス
あの人たちの会話、パニック気味な頭じゃあんまり記憶はできなかったけど。
それでもはっきりと覚えてる台詞がある。
『早くしないとせっかく入れたアプリ、ジェイに気づかれちまう』
あれってつまり、事務所がわたしのスマホに入れたのと同じようなヤツ――追跡アプリ――を、彼のスマホに内緒でインストールしたって意味だと思うんだ。
だからきっと電源を切っちゃえばひとまず大丈夫、ってことじゃない?
「お願い、切って」
繰り返すその口調があんまり切羽詰まったものだったせいか、チャコールグレイの瞳がきょとんと瞬く。
「心配しなくても、ユウと一緒の時に使ったりしな……」
語尾がいきなり途切れた。
そのままスッと笑みを消し、考えこむように眼差しを宙へやる。
やがて視線はわたしのところへまた戻ってきて――彼はカタリと、手にしていたスマホを2人の間に置いた。
「いきなりオフにすると、気づかれる。このまま、ここに置いて行こう」
奈落に落ちたみたいに、全身へ衝撃が走った。