マリオネット★クライシス
はぁはぁ……
水たまりに手をつき、なんとか上半身を起こした。
したたかに全身をぶつけたが、ケガはないようだ。
ただ――……軽自動車はもう、どこにも見えなかった。
「Damn itっ!!」
コンクリートに、拳を叩きつけた。
◇◇◇◇
<……ということで、報告は以上だよ。ジェイが受け取ったあの金は正当なギャラだった。つまり彼はシロってこと。後は、君に任せるよキング>
大型トラック内の“秘密基地”で、ライアンはノートパソコンに向かって晴れやかな笑顔で締めくくった。
《ギャラねぇ……あいつが俺たちに隠れてそんなことをしてたとは。それはそれで、また大問題になりそうだな》
キング、と呼ばれたスーツ姿の男が、画面の向こうで肩をすくめるのが見えた。
<そうかもしれない。でもこれ以上は、僕たちの関知すべき問題じゃない。違うかい?>
《平然と言ってるが、一番影響を受けるのはライアン、お前なんだぞ?》