マリオネット★クライシス
「優しい羽根かぁ、わああ天使ちゃんにぴったり! 素敵!」
手を叩いた栞は、ちょいちょいとジェイにつつかれた。
「栞、これ、“ユウ”って読むんじゃないの?」
「え――」
ユウ? それって……
「この子の命の恩人だから。もらっちゃった」
悪戯っぽく言う奈央の腕の中、赤ん坊が何も知らぬ気にふにゃりと笑った(ように見えた)。
「優羽ちゃん……」
つぶやくそばから、濃密に駆け抜けたあの日の記憶が色鮮やかに蘇る。
自分の人生を激変させた、あの一日。
今でもまだ、全部夢だったんじゃないかと思う、あの時間……
栞は心の中で誓う。
いつの日か、彼女に聞かせてあげよう。
“ユウ”が生まれた、あの夏の日の冒険を――
と、優羽に潤んだ眼差しを注いでいた栞は気づかなかった。
隣でこっそり、「オレたちの子どもにつけようと思ってたのに」とジェイが悔しがっていたことに。