マリオネット★クライシス
「どこで何をしていても、オレが一緒にいることだけは間違いないな」
自信たっぷりな口調に思わず吹き出しそうになりつつ、栞は照り付ける陽の光に手をかざした。
「わたしね、自分のこと何も知らないの。今まで、女優の仕事がすべてだったから。本当の自分は何が好きなのか、できること、したいこと、何もわからなくて……だからまず、いろんなものを見て聞いて、経験して……人形じゃない、生身の自分の心を知りたいなって思うの。将来何をするかは、その後で考えてもいいのかなって。それでね……」
言葉を切り、勢いよくジェイへと身体を向けた。
「留学、しようかなって思ってる」
「留学!?」
思いがけなかったのか、見上げたチャコールグレイの瞳は大きく開いている。
「……って、もちろんアメリカだよな?」
「え? え、っと……う、うん?」
強制? 一択?
いや、実際そのつもりだったから問題ないのだが。
「ニューヨーク、行ってみたいなって思ってて……。ジェイはこれからアメリカを拠点にするんでしょ? たまには会えるかな?」
「わかった」
即答されて、きょとんとする。
わかった、とはどういう意味だろう。
彼が住んでいるのは、確かボストン――
「オレもニューヨークに引っ越すから問題ない」