子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 弥子には、今夜保名さんが帰ってくる時にこれを着て出迎えろと言われている。それが新婚の妻というものだからと。

 逆に言えば、私は彼が顔を合わせたがらないだろうと考えて、妻の役目を放棄していたのだ。本当は夫をこうした服で出迎えなければならなかった。教えてくれた弥子には感謝すべきだろう。

 こんなかわいらしい服が自分に似合うか不安が残るものの、彼の帰宅に合わせて準備をする。

 保名さんはいつもより少し遅くに帰ってきた。

「あっ、あの、お帰りなさい」

 心臓が弾けそうになるほどうるさく高鳴る中、玄関のドアを開けた保名さんに声をかける。

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