子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 彼女を抱きたいと思ってしまうなんて、気を付けていたというのにとんだ失態だ。

 自身を取り戻すと、今度は逃げてきたという状況に苦い思いが込み上げる。

 別に動揺して逃げたわけではない。彼女に心を動かされてしまったわけでもない。

 誰に言い訳しているか自分でもわからないまま、音を立てないように部屋の鍵を開けて廊下に出る。

 リビングへ向かうと、既に着替えを済ませていたらしい彼女と鉢合わせてしまった。

 手には水の入ったグラスを持っており、目もとが少し赤くなっている。

 どきりとしたのは認めよう。艶めかしい服に身を包んでいない時でさえ、彼女は魅力的だ。

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