子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 俺が頷くと、彼女はなぜか寂しげに目を伏せた。

「どうしてお別れしたのか、聞いてもいいですか?」

「父の愛人だったからだ」

 答えが簡潔すぎたせいか、彼女が理解するまでやや時間がかかった。

「お義父さんの、愛人?」

「ああ、そうだ。五年前の話だな。父の方から、そろそろ結婚しろと相手を用意された。どうせ家のための結婚なのは変わらないし、誰でもいいかと思ってたんだが……」

 明るく社交的で、会話上手な女性だった。今、目の前にいる彼女とは正反対だ。

「どうも父といる時に様子がおかしくてな。探りを入れてみたら、真っ黒だった」

「……と、言うと」

「身体の関係があったんだよ」

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