子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 店頭に訪れた少数の人間しか手に入れられないからこそ、久黒庵の希少価値があるのだと説得されたが、そんなやり方ではやがて衰退していってしまうと俺は思う。

 最終的には店頭でしか販売しない菓子を新しく開発することで納得してもらったが、俺が本格的に後継ぎとして経営するようになったら、ますます意見がぶつかるようになるだろう。

 だから父は、自分の息がかかった女性を息子の妻にして、遠回しに俺を操ろうとしたのではないだろうか。妻を経営に関わらせる予定は昔も今もないとはいえ、日常のさりげないひと時に異なる考え方を俺に擦り込もうと思えば不可能ではない。

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