子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 私はどうやら調子に乗っているようだ。彼の両親の話を聞き、今日ここで妻として紹介され、本心ではない褒め言葉に舞い上がった。あんなふうに馴れ馴れしく彼に触れるべきではなかったというのに。

 泣くわけにはいかない。会場の中で、同じように夫を見送った女性たちを見習わなければ。

 深呼吸をして自分の気持ちを落ち着かせる。

 大丈夫だ。幸せな結婚にならないのは最初からわかっていたのだし、それが初恋の成就を望んだ自分への罰だと受け入れていたのだから。今更傷付くのは間違っている。

 周囲を見回し、自分がなにをすればいいか考える。

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