子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
奥の方には最初にも見た和菓子の数々が並んでいる。
やはり久黒庵のものなのだろう、『久黒』と焼印が入ったきんつばや、なぜかいつも冷蔵庫に常備されている水まんじゅうがある。
そういえば今まで、久黒庵のお菓子を食べたことがあっただろうか。
実家ではお茶に誘われなかったし、余ったものでさえ分けてもらえなかった。今も冷蔵庫で見かけはしても、手を出していない。
保名さんが両親に思うところがあっても後を継いで守りたいと思う、伝統の味だ。
離婚を控えた妻とはいえ、夫の仕事に大きくかかわるものを一度も口にしていないというのはどうなのだろう。