子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 おとなしくしていろと言われた以上、この場を移動していいかも怪しかったが、料理を取ってくるぐらいならば大丈夫に違いないと判断し、和菓子が並ぶテーブルへ近付こうとした。

 だけどその前に肩を叩かれる。

「それ、取ってもらえる?」

 私の父よりも年上だろうと思われる、背の高い男性が側の椀を指し示す。

 自分でも取れる距離ではあるが、普段からこうした扱いを受けていた私は、当然のように男性の指示を聞いてしまった。

「はい、これですか?」

「どうもどうも。君みたいなきれいな子がいると、会場が華やぐねぇ」

「ありがとうございます」

 また褒められたと思いながら頭を下げ、再び上げる。

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