子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「君、どこの会社の子なんだ? ん? 後でゆっくり話をしようじゃないか。もしかしたらいろいろと融通を利かせてあげられるかもしれないよ」

 黙っていたからか、彼は更にエスカレートして私の肩を抱き寄せた。

 むっとアルコールの匂いが鼻を突き、恐怖と嫌悪感がますます強くなる。

 これまでそうだったように我慢していれば、いずれ終わるはずだ。私が騒がなければ、万事うまくいく。

 そう思っていたのに、急に男性が私から遠ざかった。

「琴葉」

 近付いてきた保名さんを見て、ほっと全身の力が抜ける。

 どうやら男性は彼に気付いて、咎められる前にと逃げ出したようだ。

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