子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 両親は、そんなにも繰り返し保名さんに私の嘘を話していたのかと胸が締め付けられる。

「簡単な料理ができないのは本当だったし、買い物だっていきなり二万も使われて驚いた。しかも買ってきたものがあれだしな……」

「妻はあれを着て、夫を出迎えるんじゃないんですか?」

「なに言ってるんだ。あんなのを着て出迎えられたら……」

 保名さんは不自然に言葉を切ると、私から手を離して自身の額を押さえた。

「……どこまで本気で言ってるんだ、おまえは」

 全部本気だと言おうとしたのに、肩を押されてその場にひっくり返る。

 なにをされたのかわからないまま、覆いかぶさる保名さんに見下ろされた。

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