子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 急に空気が口の中に流れ込んできたことから、唇を解放されたのだと知る。

 保名さんとキスをしていた時間は短かったのに、触れていた場所が物足りなさに疼いた。

「な、なんで、キス」

 あまりにも私の理解を超えすぎていて、一周回って恐ろしくなってしまった。

 実家にいた頃は折檻や食事を抜かれるなどで罰を与えられたが、保名さんはこういう形で私を罰しようとでもいうのだろうか。

 だとしたら、残酷な人だと思う。私がなにに一番心を掻き乱されるのかよく知っているということだからだ。

 こんな形でキスなんかされたくないのに、込み上げた想いは彼への強い恋情だった。

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