子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 長い間育んできた淡い想いが一気に膨らんで、もっと触れられたいという欲求に変わる。

 しばらく私を見ていた保名さんが、なにかを堪えるように顔をしかめ、先ほどとは違う強引な口付けを迫った。

 怖いと思うのは、気持ちが流されてどこかへ飛んでいきそうだからか。

 今度はぎゅっと目を閉じて、与えられるキスの快感に酔う。

 唇というものはこんなに柔らかくて気持ちのいいものなのか。息をするタイミングが掴めなくて苦しいが、それで目の前がくらくらする感覚もまた、心が沸き立って恍惚としてしまう。

 舌を絡め取られて、くぐもった声が漏れた。

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