子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 身体が鈍痛に包まれており、いったいなにがあったのだろうかと昨夜の記憶を振り返る。

 保名さんと結ばれたのだったと思い出し、彼の姿もないのに恥ずかしくなってシーツを手繰り寄せた。

 ひたすらに優しくて、甘くて、身も心も溶けてなくなりそうな時間だった。

 保名さんは余裕のない様子を見せながらも、ときどき私に声をかけて気遣ってくれた。

 琴葉――と呼ぶ声がまだ耳に残っている。

 私は上手にできたのだろうか。保名さんが望むようにやれただろうか。

 途中から記憶が途切れているのは、きっと意識を失ったからだ。もし最後までできていないのだとしたら、彼に申し訳ない。

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