子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「で、なんで嘘を吐かれるような事態になったんだ? 結婚だって、おまえがわがままを言ったって話は嘘なんだろ?」

 話せば保名さんに真実を伝えられるが、家族のためにはならない。

 保名さんは黙り込んだ私をしばらく待ってくれていたけれど、やがて静かに言った。

「おまえがすぐうつむく癖と関係あるのか?」

「これは……もともとです」

 敬語、と指摘してから保名さんが額に手を当てる。

「おまえは家族を大切だと思ってるのか?」

 探るような言い方に引っかかりを覚えつつも、すぐに頷く。

「うん。……だって、家族だよ」

「別に家族だからって、無条件に愛してやる必要はないと思うけどな」

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