子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
たくさんの『好き』に囲まれて

 あれ以来、保名さんとの生活は劇的に変化した。

 料理をしたことがなかったのだと話したからか、簡単なものとはいえ朝食を用意してくれるようになったり、彼が帰宅した時に部屋にいると、わざわざ私の顔を見に来たりするようになった。

 夕飯も時間が合う時は一緒に食べ、休日は外へ出かけるようにもなった。

 保名さんは自分でも言っていたように、これまで冷たい態度を取って私を傷付けた償いをしたいと思っているらしい。

 彼の罪悪感から来る優しさであっても、ふたりの時間が増えるのは純粋にうれしかった。

「ただいま、琴葉」

 今日もまた、保名さんが帰宅する。

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