子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 あれ以来、出迎えるようになった私だが、ネグリジェは着ていない。

 私がなにも知らないのをいいことに、弥子が騙したのだと保名さんが教えてくれたからだ。

 でも、彼はたまにあのネグリジェを着てほしいと私に言う。

 本当はきれいだと思っていたのに、誤解していた頃だからそれを口にするわけにはいかなかったそうだ。理性を搔き集めなければ、あのまま襲ってしまいそうだったと語られ、逆に私はあの服を着られなくなってしまった。

 保名さんがそこまで心を揺さぶられるような格好だなんて知った以上、平気な顔で着るなんてできるはずがない。

「今日も張り切って掃除をしたんだな。埃ひとつ落ちてない。さすがだな」
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