子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「絶対無理。よく保名さんも今日まで離婚せずに結婚生活を続けてきたよね」

「うちも葛木さんのところも古い家柄でしょ? すぐに離婚するようじゃ問題になるから、ある程度の期間は我慢しないと」

 ふたりが話している内容は、別の世界の言葉のように聞こえた。

「とにかく。いつ話を切り出されてもいいように準備しておきなよ。いっそ、琴葉から離婚届を出してあげた方がいいんじゃない? 保名さんが役所に行く手間も省けるだろうし」

 もう弥子の顔を見ていられず、膝に置いた手に視線を落とす。

 私はどうすればいいのだろう。なにを信じたらいいのだろう。

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