子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「離婚の件は保名さんも承知してるんだよ。そもそも、前からそういうふうに話が通ってたんだけど……もしかして教えてもらってなかったとか?」

 震える手からだんだんと温度が失せていく。

 確かに最初は離婚すると言っていたけれど、誤解が解けてからなくなったはずだ。それとも、そう思っていたのは結婚生活の存続を願っていた私の妄想なのか。

「弥子、あんまり琴葉をいじめるのはやめなさい」

 母がやんわりと弥子を止め、上品にくすりと笑い声を漏らした。

「望まれた妻じゃないんだから、大切な話をされていないのも当たり前じゃない。弥子だったら信用できる? 妹の結婚を乗っ取った女なんて」

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