子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「言わずに墓まで持って行こうかと思ってたけど、やっぱり言いたい。あなたが幸せになるのは困るの」

「どう、して……」

「私が幸せになってほしいのは、弥子だけだから」

 弥子の名前を出した瞬間だけ、私を嫌いだと言った声に優しさと愛情が交ざった。

「愛した人の娘なんて、連れ子の娘が勝てるわけないじゃない。でも私は弥子のためにあの人が必要だった。充分な生活を与えたかったし、そのためならなんでもするつもり。実際にそうしてきたのはあなたも知ってると思うけど」

 くす、と母が笑う。どこか寂しげな響きを孕んでいた。

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