子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 恥ずかしくなって保名さんの胸に顔を押し付け、速度を増し始めた鼓動に気付かれないよう深呼吸する。

 好きな人が私を好きだと言ってくれた。それだけで空でも飛べそうなくらい、気持ちがふわふわしてしまう。

 しばらく私たちは抱き締め合ってお互いの体温を感じていた。

 保名さんの鼓動も速い気がしたけれど、指摘したらその瞬間腕の中から追い出されそうで我慢する。

 やがて私の涙が完全に乾いた頃、保名さんが言った。

「おまえの家族をどうしてやろうな」

「えっ」

「自分の娘をいじめるだけなら好きにすればいいが、今はもう俺の妻だからな」

< 254 / 381 >

この作品をシェア

pagetop