子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 鼻をつままれて顔をしかめると、涙に濡れた視界の中で保名さんが笑った。

「離婚はしないぞ。そんなに昔から好きだったって言われて、今更捨てられるか。一生かけて幸せにしてやる」

「本当? 一生側にいてくれる……?」

「今なら和菓子付きだ。よかったな」

 素っ気なくてぶっきらぼうな言い方は、きっと照れ隠しだ。

「保名さんに和菓子が付いてくるなんて、好きなものがいっぱいでもう幸せになれそう」

 彼につられて笑うと、その弾みにほろりと涙が落ちていった。

「そうやって一生笑ってろ。……その方がかわいいから」

 小声で付け加えられた言葉のせいで、今度は私が照れる番だった。

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