子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 久黒庵から提供する和菓子を陶芸家の器に飾り、家元がその場で用意する茶で味わうのだと彼は続けた。陶芸家も茶道の家元も、その業界では知らない人がいないとまで言われる有名な人物のようだ。

 実家は呉服屋ということで、イベントに向けての衣装を整えたり、当日、参加者の崩れた着物を着付けたりと忙しいに違いない。

「マスコミも大勢集まるから、騒がしくなりそうだ。なにか質問されても愛想笑いで誤魔化しておけよ」

「そういうのは答えないといけないものかと思ってた」

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