子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 彼が私を信じられなかった理由でもある、両親から受けたトラウマ――本人は気にしていないと言いそうだが――が原因だろうということは、きっと私しか知らない。

 着物を桐の箱に丁寧にしまいながら、再び保名さんに問う。

「私、本当に行っても平気? 実家にいた頃は三人だけで参加してたの。私は出ちゃいけないからって」

「留守番するつもりなら、家から引きずり出してやる」

 過激な発言にぎょっとすると、保名さんは私の頬をまた引っ張った。

「おまえは俺の妻なんだ。堂々としてろ」

「……変な噂を立てられるかもしれないよ」

「噂は噂だろ。俺は真実を知ってる」

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