子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 言い切った保名さんを、眩しい人だなと心から思った。

 胸にあった不安が消え、代わりに彼への想いが満ちていく。

「ずっと聞かなかったけど、うちの家のことはもう大丈夫なの? ほら、離婚の話」

 保名さんは私の頬を弄るのをやめ、桐箱の上に置いていた手を握った。

「俺の気が済まないから、わからせてやるつもりではある」

「えっ、でもひどいことはしないでって……」

「おまえがされてきたことに比べれば、全然ひどいことじゃない。優しすぎて涙が出そうなくらいにはな」

 なんとも不穏な言い方をされ、今度は別の意味で不安が込み上げる。

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