子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「ごゆっくりどうぞ! 後で僕も久黒庵さんにお邪魔させてもらいますね」

「ぜひ。取り置きが必要なら、私の方から店の者に伝えておきますよ」

「えっ、いいんですか!? ちょっと待ってくださいね、今リストアップしてきます……!」

 慌てて駆けて行った社長さんの後ろ姿を見て、つい笑ってしまった。

「本当に好きなんだね」

「ああいう人にもちゃんと届けられるように、もっと販路を拡張していきたいもんだな」

 保名さんが通販や催事への出店を積極的に行うのはそうした理由があるからだろうか。

 好きだと言ってくれる人に届けたいという優しい理由は、彼らしい気がした。

「さ、食うか」

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