子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 ときどき他の参加者に挨拶をしたり、されたりと、イベントが終わったにもかかわらず忙しい時間を過ごしていると、時計を見た保名さんが私に言った。

「そろそろスピーチの準備に行かなきゃならない。ひとりで大丈夫か?」

 今回参加した店の代表が、それぞれ短いスピーチをするという話は聞いていた。

「大丈夫だよ。ありがとう」

「あれなら、うちのスタッフのところに行くといい」

 頷くと、軽く後頭部を引き寄せられた。

 彼の胸に顔を押し付けられ、ぽんぽんと撫でられる。

「嫌なことがあったら我慢するなよ」

「……うん。すぐ呼ぶね」

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