子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 どうせ嫌な思いをするのは間違いないのだから、進んで家族のもとへ行く必要はないと。

「すみません。久黒庵の方でいろいろと仕事を頼まれていたので……」

「嫁入りしても雑用係ってところが琴葉らしいよね」

 弥子が笑いながら言う。

 どんな仕事であれ、雑用なんて言い方はしたくない。

 誰かがひとりでも欠ければ、今日の成功は手に入らなかっただろうから。

 でもそれは言わずに胸の内に収めておく。

「そろそろ葛木さんのスピーチだが、よく平気な顔でここにいられるな? なにを説明するのか聞いていないのか?」

 父から不思議そうに尋ねられ、素直に頷いておく。

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