子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 両親も弥子も、誰ひとり私になにも言わなかった。



 保名さんは、その場に倒れそうになる私を抱えるようにして車まで連れて行ってくれた。

 助手席に座らされ、背もたれに身体を預けても、まだちゃんと息ができない。

「琴葉。落ち着け、琴葉。もう終わったから」

 運転席に移動した保名さんが私に何度も呼びかけ、抱き締めて背中を撫でてくれる。

「私、みんなになんてことを……」

「安心しろ、大したことは言ってない。だから自分を責めるな。おまえが言わなかったら俺が言ってた」

 私を抱き締める保名さんの腕の力は苦しいほど強くて、逆に安心感がある。

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