子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「どうして私と弥子のふたりともを愛してくれなかったの? 私が望んだのは、弥子と同じように扱ってもらうことだけだったのに……!」

 父がなにか言いかけて口を開くも、聞きたくなくてわざと遮る。

「私は保名さんと新しい家族を作る。宝来の家には娘がひとりしかいなかったものだと思ってください」

 最初から彼らにとってはそうだったかもしれないけれど。

 一気に感情を吐き出すと、急速に悲しみが込み上げてきてたまらなくなる。

 どうやって息をしていたのかわからなくなり、胸を押さえて必死に呼吸しようとした。

 私の様子に気付いた保名さんが、肩を抱いてその場から離れるよう促してくれる。

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