子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 もう一度その事実を噛み締め、浅い呼吸を繰り返した。

「どうして……」

 込み上げる感情をどうすればいいかわからないまま、掃除をする振りをして涙をこぼす。

 こうして私の初恋は、誰にも知られずに散ったのだった。



 弥子の結婚が決まり、両親は大喜びだった。

 ただ、これは両家を繋げるための政略結婚なのだろう。保名さんが弥子に会いに来ることも、弥子が保名さんのもとへ行くこともなかった。

 幸せを祈るつもりだとは言っても、ふたりが仲睦まじく寄り添う様子を見たら、きっと私は耐えられない。政略結婚を喜ぶなんて、姉として最低だ。

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