子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「……せっかくだし、食うか」

 作ってみた、とわざわざ報告してきたのは、俺に食べてもらいたかったからだろう。

 そう判断し、決意を胸に告げる。

 俺がどれだけの勇気を振り絞っているか、知られるわけにはいかない。

「ちょっと待っててね」

 案の定、琴葉はうれしそうに冷蔵庫へ駆けていった。

 その後ろ姿を見て、ああかわいいなと思った時点で、俺は彼女に勝てないのだ。

 大きな不安は残りつつも、椅子に座る。

 せめて砂糖と塩は間違えていなければいいが。

 いや、生焼けでさえなければ充分か。

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