子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「そうだと思って作ってみたのもあるの。たまにはあんこじゃないものもいいかなって」

 だったら普通にチョコを買ってきてくれればそれで事足りる、とは言えない。

 うつむく癖があった彼女が、夫婦になれてからずいぶんと前向きになっている。

 他でもない夫の俺が、その成長を邪魔するわけにはいかないだろう。

「……それじゃあ、食うか」

 言う必要がないのに声に出たのは、たぶん、覚悟を決めるためだ。

 せっかくなら用意された分は完食したい。おいしかったと言いたい。

 またいつか作ってくれと、琴葉に言ってやりたい――。

「……いただきます」

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