子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「……そんなこと思ってたの?」

 じと、と琴葉がなんとも言えない目で見つめてくる。

 あまりの驚きにうっかり口が軽くなってしまったようだ。

「いや、うまかったらいいなとは思ってたんだ。あんまり嘘は吐きたくないから。……でも、なんでちゃんと食えるものになってるんだろうな。琴葉が作ったのに」

「そろそろ私も怒るからね」

 琴葉が怒った素振りを見せるが、怖くもなんともない。

 彼女はおそらく、今までまともに怒った経験がないのだ。

 だからまったく迫力がないし、怒っていると自己申告がなければ、妙な顔をしているなと感じるだけで終わってしまう。

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