子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「レシピが本当に簡単だったの。だからおいしくできたんだよ」

「だっておまえ、目玉焼きも作れなかっただろ」

「あれは、その……」

 かつて琴葉はできないなりに料理をしようとして、大失敗した。

「今はもう違うってことなんです!」

 腰に両手を当て、胸を張った琴葉はやっぱりかわいい。

「おい、敬語」

「あっ」

 慌てて自分の口を押さえた彼女の手を掴み、引き寄せてからガトーショコラを食べさせる。

「これ、保名さんの分……」

「さん付けするな」

 何度言っても、琴葉は俺を呼び捨てしない。

 この調子だと、一年経とうと二年経とうと、いつまでもさん付けで呼ばれそうだ。

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