子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 外出には許可が必要で、高校も大学も女子のみの学校に通っていた私が、これまでどうやって男性と関係を持ってきたというのだろう。

 だけど母は私がそういうことをする人間だと思っている。そして、父も母の言葉を信用していた。

 バッグに洗い立ての白いハンカチを入れていると、歓声のような大きな声がした。

 何事かと顔を上げた時、部屋に近付く足音に気付く。

「琴葉!」

 勢いよくふすまを開いた弥子は、目もとを赤く染めていた。泣いたのだろうか。

 彼女は畳の上に座り込んでいた私に近付くと、切羽詰まったように強い力で手首を握った。

「私の代わりに結婚式に出てくれるでしょ?」

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