子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 愛想がいいとまでは言わないが、表面上は穏やかに接していた保名さんも、ふたりきりになってからはその仮面を脱ぎ捨てる。

「ご両親から聞いた。おまえが妹の結婚を妬んで、強引に入れ替わったそうだな」

 どうしてそんな話になっているのか。真実はまったく異なっているというのに。

「弥子さんに暴力まで振るったとか。よく妹に対してそんな真似ができるな」

 吐き捨てるように言うと、保名さんは自身のシャツのボタンに手をかける。

 一瞬、どきりとしてしまったけれど、彼の静かな怒りを目の当たりにしてときめいている余裕はない。

< 42 / 381 >

この作品をシェア

pagetop