子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 保名さんの住むマンションは、彼の部屋と私の部屋、二十畳ほどのリビングダイニングにキッチンと実家に比べれば部屋数も少なく、広くもない。

 実家の掃除は母が細かく見回るため、何度もやり直しをして一日がかりになるが、ここならば掃除をし直してもそこまで時間はかからないだろう。

「もし、ゴム手袋などがあればそれもいただきたいです。お風呂場の掃除もしますね」

「最低限でいい。それと、俺の部屋には入るな」

「保名さんの部屋以外を掃除すればいいんですね」

 なるほどと思っていると、妙な顔をされる。

「随分、素直に受け入れるんだな。てっきり文句のひとつでも言われるのかと思ってた」

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