子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む

 そんな顔と言われても、どんな顔で笑っていたのか私には見えない。

「初めておまえの笑うところを見た気がする」

「……きっとうれしかったからです。また、絆創膏を巻いてもらえて」

「そんな昔の話、よく覚えてたな」

 保名さんが救急箱をしまいながら目を逸らす。

「父に連れられて宝来の家に行った時のことだろ。トイレに行った帰りに迷子になった。なぜか庭に迷い込んで……あの時、怪我をしてたのがおまえだったのか」

「はい。保名さんも覚えてくれてたんですね」

 同じ記憶を持っているのがうれしくて言うと、保名さんは目を逸らしたまま首を左右に振る。

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