子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む

 きゅ、と唇を引き結んで頷いてしまった自分がいた。

 どんな時であれ、保名さんは私の顔なんて見たくないに決まっている。

 でもそれを第三者から改めて指摘されるのはきついものがあった。

『あ、そうだ。今から出て来られる? 頑張りたいと思ってるんでしょ? それっぽい服でも買いに行こうよ』

 弥子が私を買い物に誘っている?

 彼女が私の妹になってから初めての経験だ。母や父を含めての買い物だって、今まで一度もない。

 どうして急にそんなことを言い出したのかわからず困惑する。

 黙っている私に焦れたのか、更に弥子が続けた。

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